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初盆の準備 神道の場合はどうするか

初盆は個人が亡くなって初めて迎えるお盆です。

準備は毎年のお盆とは少し違いますが、仏教の形式に合わせたやり方がよく知られています。

神道の形式で行われることはあまりないので、一般にはほとんど知られていないようです。

今回は神式での初盆の準備と流れを見ていきましょう。

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1、自分の家は神式かどうかの見分け
2、仏式と神式の違い
3、準備するもの
4、実際の流れの例
5、お盆のお返しは

に分けて進めていきます。

神式かどうかの見分け



現代は自分の家のお葬式や初盆を経験することも少なくなりました。

仏教でも自分の家の宗派やそれに沿った準備や方法を知っている人はあまりいません。

◆自分の家が仏式か神式か

自分の家が仏式か神式かを見分けるには次の点を確認します。


仏式の場合

・お寺にお墓がある
・家に仏壇がある
・故人に戒名が付けられている

神式の場合

・霊園にお墓がある
・祖霊舎(仏壇にあたるもの)がある
・お墓に「○○家奥津城」「○○家都津城」(まるまるけおくつき)と刻まれている
・戒名ではなく「霊号」が付けられている

これらの点を確認すれば、神式か仏式かがわかります。

お墓のある場所については次の項目で説明しますが、

ここで、お墓に刻まれる文字と霊号について少し説明しましょう。

◆お墓に刻まれる文字

神道のお墓は仏式のお墓と形状はほとんど変わらないことも多く、

見た目で区別するのは難しいでしょう。

でも、お墓に刻まれている文字を見ればすぐに分かります。


○○家奥津城」「○○家都津城」(まるまるけおくつき)


と刻まれていれば神式です。

」は一般の信徒のお墓に使われ、「」は神主、氏子などに使われます。

仏教のお墓では

「○○家之墓」「先祖代々之墓」や「南無妙法蓮華経」等の文字が刻まれます。

宗派等によって多少違いがあります。

◆霊号

神道では仏教の戒名に当たるものはなく、「霊号」が付けられます。

これは(おくりな)や諡号(しごう)とも呼ばれ、神霊を意味するものです。

仏教の戒名とは仏の弟子としての名前ですが、

神道では人は死んだ後、子孫や地域を守る氏神になると考えられているため、

この霊号が付けられるのです。

霊号は亡くなった年齢と性別によって決められます。

地域によって多少の違いがあるようですが、おおよそ次のようになります。


稚児(男女共通)嬰児(みどりご)

幼児(男)稚郎子(わかいらつこ) 童子(わらべ) 
幼児(女)稚郎女(わかいらつめ) 童女(わらめ)

少年朗子(いらつこ)
少女朗女(いらつめ)

青年(男)彦 比古(ひこ)
青年(女)姫(ひめ)

成人(男)大人(うし)
成人(女)刀自(とじ)

老年(男)翁(おきな) 老叟(ろうそう)
老年(女)媼(おうな) 大刀自(おおとじ)


そして、尊称を最後に付けます。

」「」などです。

例えば、鈴木一郎さんが30歳で亡くなったとすると

鈴木一郎大人命

となります。

また、亡くなった命日は「帰幽日」と言われます。


では仏式と神式では初盆はどのように違うのでしょうか。

仏式と神式の初盆の違い



仏教と神道ではなくなった方の魂に関する考え方が違います。

先程、触れましたが

仏教では故人の魂は仏様の弟子となります。

神道では神様となって子孫や地元を守ります。

また、初盆の時期にも多少異なります。

◆神道の初盆

神道では

故人が亡くなった日から1年以内に迎えるお盆

を初盆とします。

仏教では

故人が亡くなって49日を過ぎてから初めて迎えるお盆

を初盆とします。

お盆の期間は現代では

7月13日から16日、または8月13日から16日

です。 (地域、宗派によって違いますので菩提寺に聞いて確認します)

仏教では故人が亡くなってから49日経過する前にお盆があると、その方の初盆は来年のお盆になりますが、

神道では亡くなった年のお盆が初盆になります。


◆お墓について

仏教ではお寺にお墓があるのに対し、神道では神社にお墓はありません。

神道は死を「穢れ」と捉え、神様は穢れを嫌うため、神社の敷地内にお墓を立てることができません。

そのため、お墓は

神道専用の墓地、民営の霊園、公営の霊園、宗教不問の墓地

などに建てられます。

例外的に寺院の墓地に建てられていることもあるようですが、宗派の関係で難しいことが多いようです。

また、民営、公営の霊園でも受け入れる宗派を指定していたり、運営する母体によっては決まりもあるようなので、新しく、お墓を立てる場合には注意が必要です。


こうしてみると、初盆も仏式とは大きく違うように想像しますが、

実際には似ている部分も多く、準備も仏式のものをそのまま使えます。

神道の初盆の準備



◆初盆に準備するもの

仏式では仏壇をきれいにして、精霊棚前面に精霊棚を作りますが、

神式では祖霊舎と呼ばれるものが仏壇に当たります。

用意するものは仏式と少し違うだけなので次に挙げるものを準備しておきましょう。

特に精霊棚に用意するものは仏式のものがそのまま使えるので、購入に困ることはないでしょう。

祖霊舎と精霊棚

・盆花
・精霊馬と牛
・真菰
・ホオズキ
・個人の好きな食べ物など
・白提灯
・送り火に使うおがらなど

お墓参り

・掃除用具
・お酒
・塩
・お米
・榊
・ろうそく

お墓参りにお線香は必要ありません。

また、お花の代わりに榊を供えます。

初盆で精霊棚に用意するものは、お盆の時期にあわせて花屋さんなどで買うことができます。

この時期を逃すと手に入りにくかったりするので、近くのお店に問い合わせておくとよいでしょう。

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初盆の流れの例



神道の初盆も仏教の初盆と流れは変わりません。

ただ、いくつか異なる点があるのも確かです。

一般的な流れとしては

前日に精霊棚を作って準備をし、

次の日の午前中ににお墓参りを済ませ、

夕方に迎え火を焚く、

という流れです。

仏教では菩提寺の僧侶を招き、読経をしてもらいますが、

神道では神主さんを招き、祝詞を奏上していただきます。

この祝詞の事を「大祓詞」と言います。

では、準備の手順を追っていきましょう。

◆精霊棚を準備する

①祖霊舎を掃除する

中には霊璽といって個人の御霊が宿っているものが納めれています。

仏教では位牌にあたるものです。

霊璽を出し、祖霊舎をきれいに掃除します。

ホコリを落として軽く水拭きする感じでよいでしょう。

霊璽も乾いた布などでホコリを落としておきます。

その他の神具もきれいに掃除します。

祖霊舎には通常、花は飾らず、榊を飾るので、このときに榊も新しいものにしておきます。

お米やお水、お神酒も新しく供え直します。

全ての掃除が終わったら、霊璽を取り出し、手前側に出しておきます。

お米や水、お神酒よりも手前側に出します。

この前面に精霊棚を準備します。


②精霊棚を作る

祖霊舎の前に精霊棚を準備します。

精霊棚は仏式と同じもので構いません。

低い机などを用意して上に真菰を敷きます。

その上に馬と牛、

ホオズキや故人の好きだったお供え、盆花を飾ります。

この時に迎え火、送り火に使うおがらなどもそろっているか確認しておきましょう。

馬と牛は昔はキュウリと茄子で作ったりしましたが、今は藁などで出来たセットが売られています。

詳しくはこのブログの記事

初盆の準備 臨済宗の場合
初盆の準備 日蓮宗の場合

を参考に整えてみてください。

ここまで準備が出来たら、お墓参りの準備をしましょう。


③お墓参りをする

前日に精霊棚を準備しておけば午前中にお墓参りができます。

お墓参りはお墓のお掃除もかねて行きましょう。

ですから、掃除用具も忘れないようにしましょう。

箒や塵取りなどは霊園でも用意されているかもしれませんが、

お盆の時には人も出るので、自分のものを用意していけば安心です。

・敷地内の雑草を取る
・ゴミや葉っぱなどを片付ける
・花立てや神具をきれいにする
・墓石を綺麗にする

の順番にやると効率的です。

特に墓石は水をつけたスポンジで表面や文字のくぼみの汚れを落とし、乾いた布でふき取るとよいでしょう。

掃除が終わったらお参りです。

お墓参りの手順は次のようになります。

・ろうそくの火をつける
・榊を花立てに供える
・神具に水、お神酒、塩、米をお供えする
・墓石に水をかける
・二拝二拍手一拝でお祈りをする

神社でのお参りと同じ作法でお墓参りをします。

ただし、故人が亡くなった日から50日を過ぎていないときには、

拍手の音はさせず、手を合わせる動作だけにします。

お参りが終わったら、動物に荒らされそうなものは持ち帰りるようにします。


④迎え火をする

お盆の初日、7月13日か8月13日の夕方に迎え火をします。

玄関先に白提灯をつるして灯します。

玄関先に付けられないときには祖霊舎の近くや窓際などにつるします。

夕方に迎え火をして故人の魂を迎えます。

やり方は仏式と変わりません。

お盆の迎え火 どのくらいの時間に行えばよいのか。
お盆とは何か? 送り火と迎え火の意味は?

の記事も参考にしてみてください。


⑤祝詞の奏上を行う

神主をお招きして祝詞を奏上します。

仏教では菩提寺の僧侶の方をお招きして唱えてもらうお経に当たるのがこれです。

故人の冥福をお祈りするもので大祓詞と呼ばれます。

家族および参加者の方と一緒に祈りを捧げ、祖霊舎に向かって榊を奉納します。

初盆では参加していただいた方と一緒に会食することもあります。

食事はどんなものでも構いません。

出前でも、近くのお店に予約を入れてもよいでしょう。

故人との思い出を語りながら楽しみます。

お盆の期間の最終日、16日の夕方、送り火をして故人の魂を送ります。


初盆のお返し



仏教でもそうですが、神式でも初盆に参加していただいた方や、お供えをいただいた方にはお返しをします。

いわゆる法事の引き物ですが、粗供養と呼ばれています。

あらかじめ初盆に参加する人数が確定しているときにはその数だけ、

または、知人からお供えの品をいただくことも考えて少し多めに用意します。

葬儀のときの人数でおよその見当がつくでしょう。

◆粗供養に付けるもの

・のし紙

これはすべての粗供養に付けます。

絵柄の入ったのしを使用せず、無地を使います。

のし紙の上半分の部分に「」または「初盆志」「新盆志」と文字を入れます。

下半分は施主の名前を入れます。

用いるのしは黒白の結び切りか黄白の結び切りを使用します。

・挨拶状

直接、粗供養を渡す場合には付けなくても失礼には当たりませんが、

初盆に参加せず、お供えをいただいた方などへ宅配等でお返しする場合にはお礼状を添えましょう

大抵はギフトなどを扱っているお店に文面の雛型があるので、

その中から相応しいものを選ぶようにします。

宗教、宗派を問わないものを選ぶのが無難です。

挨拶状の例文

拝啓

時下ますますご清祥のことと心よりお慶び申し上げます
このたびの故山田一郎の初盆に際しましては ご鄭重なるご厚志を賜り誠に有難うございました
故人も御厚情に深く感謝していることと存じます
つきましては ささやかながら心ばかりの品をお贈りさせて頂きますので ご笑納くだされば幸いに存じます
略儀ながら書状にてお礼かたがたご挨拶申し上げます

                                          敬具

令和2年○○月○○日

東京都○○区○○
山田和人
親族一同


自分で文面を作る時には句読点は打たないように気を付けます。

◆お返しの金額は

初盆のお返しの相場は

参加していただいた方には3000円から5000円くらいまでを目安にします。

お供えの品のみの方にはこの半額くらいが相場と言われます。

葬儀に参加していただいた方に事前に出欠を確認して、それぞれの金額相当のお返しを人数分用意しておきます。

参加せず、お供えのみ戴いた方には翌日くらいに発送します。

一般的には保存のきく食品(素麺 海苔 お茶)や

タオルなどの日用品、カタログから選んでもらう形式のギフトがよく選ばれます。


神道の初盆もよく知られた仏式と大きな違いがあるわけではなく、

花屋さん等で売られているもので準備ができます。

今回は初盆の流れと準備を紹介しました。

参考にどうぞ。

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