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自由研究 台風の進路を決めるもの

その年の夏から秋にかけての天気を理解するうえで台風について自由研究をおこなうことはとても有意義です。

特に、天気予報で台風の進路の予想を見る時にはなぜその進路が予想されるのか、また、

過去に日本に接近、または上陸した台風が何故その進路を取ったのか理解する助けにもなります。

今回は台風の進路を決める要素を中心に紹介していきます。

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理解するためにも

台風の発生原理
進路に影響を与えるもの
季節ごとの要素の基本的な状態

の順番で触れておこうと思います。

台風の発生原理



まず、台風がどのようにして生まれるのかを確認しておきます。

◆どこで発生するか

北半球に絞ってみると台風が発生するのは北緯5度から20度くらいの海上がほとんどです。

この近辺は赤道から近く、海面の水温が高いため、蒸発して雲ができやすくなります。

台風は次のように定義づけられています。

熱帯の海上で発生した低気圧(熱帯低気圧)のうち、

最大風速(10分間平均)が17.2m/s以上となったものを「台風」と呼びます。(日本気象協会HPより)。

熱帯低気圧が台風になるためには次の条件が必要になります。


◆台風発生に必要な二つのもの

1、上昇気流

温められた海水が上昇気流を作り、上空に到達すると、水蒸気はクモとなり、重なり合って積乱雲に発達します。

このときに熱を放出し、周辺の空気をさらに温め、上昇気流を強めます。

そしてさらに周りから空気が流れ込みます。

台風2.jpg

2、渦巻状の回転

上昇気流が強まっただけではこの雲が台風に発達するのは難しいようです。

そこで、さらに上昇気流を強め、安定させる要素が必要になります。

それが渦巻状の回転です。

このときに関係してくるのが「コリオリの力」と呼ばれるものです。

・コリオリの力

地球が東向きに自転する力によって地球上で物が進むときにその方向にズレを生じる現象です。

例えばある方向に投げられた物体は下の画像の様にその進行方向に影響を受けます。

台風5.jpg

北半球のある地点から北にボールを投げた時には、①のように東側にズレます。

西に向かって投げると②、東では③、南では④のように方向がズレます。

上昇気流によって周辺の空気が引き込まれる時にも、同じ様にコリオリの力の影響を受けます。

下の画像を見てみましょう。

台風4.jpg

真ん中の水色が上昇気流を作っている低気圧と思ってください。

下側から吸い上げられる空気は、北に向かって進み、まっすぐに吸い上げられようとしますが、

右側、つまり東側に曲がりながら吸い上げられます。

その他の方角から低気圧に入り込む空気も画像の様に曲がり、

結果的に反時計回りの回転を作りながら、螺旋状に上昇気流となって吸い上げられていきます。

pics3186.jpg

多くのイラストでもきちんと反時計回りの回転で台風は描かれていますね。

ここに挙げた二つの要因が台風を発生させ、さらに発達させるためには必要になります。

南半球ではコリオリの力は逆に働くため、台風は時計回りに渦を作ります。


ちなみに、空気が渦巻状にならない赤道直下では台風は発生しません。

台風ができる原理が解ったら、台風の進路を決定づけるものについてみていきましょう。

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台風の進路に影響を与えるもの



赤道付近で生まれた台風は自分の持つ推進力と周りの様々な力の影響で進むコースが決まります。

また、基本的に気圧の低いところを進むという性質があります。

気圧の高いところ(高気圧)を山に例えると、低いところは谷になります。

ちょうど水が流れるようなイメージになります。

下の画像を参考にして、台風が日本まで到達する順序を見てみましょう。

台風1.jpg

◆モンスーントラフ

モンスーントラフとは、北東からの貿易風と西南季節風がぶつかり合ってできた低気圧地帯です。

北緯10度から20度くらいに位置します。

このあたりでは海水温が高く、台風が発生しやすい場所です。

この近辺で生まれた台風は、自分の推進力と北東貿易風と西南季節風の影響を受けながら、モンスーントラフを西に進み、北上していきます。

◆太平洋高気圧

モンスーントラフを抜けた台風は太平洋高気圧のヘリを進みます。

太平洋高気圧がどのくらい日本の近くにあるかで日本に上陸する台風が多くなるか少なくなるか決まってきます。

時期によって勢力は常に変化します。

◆偏西風

北緯20度から60度の範囲で上空を西から東に向かって吹く風の事です。

この偏西風の蛇行や変化は気象や台風の進路に影響を与えます。

日本列島に上陸や接近した台風が急に速度を上げて去ってしまうのは偏西風に乗って流されるからです。


このように日本付近の気圧配置が台風の進路を決定します。

では次に季節ごとにこれらの配置がどのようになるかを見てみましょう。

季節ごとの状態



気象条件はその年ごとに変わってきます。

また、近年は異常気象で、例年になく梅雨が長引いたり、暑さが続いたり少し前とは天候も変わっています。

ここでは台風が多く発生する季節の進路の一例を見てみましょう。

◆6月と10月

6月と10月はほぼ、太平洋高気圧が同じ位置にあります。

太平洋高気圧の勢力はそれほどでもなく、日本の南海上に位置しています。

台風がやってきて日本に接近しても、南海上で北東の進路を変えて海上を進んで離れて行ってしまいます。

あるいは大陸や北の高気圧に邪魔されて北上できず、

モンスーントラフを抜けて、そのまま、東から西に進んで、台方やフィリピンへ抜けてしまいます。

この時期にはあまり日本に上陸することはありません。

◆7月と8月

太平洋高気圧が強まった状態で、本州を覆っている状態が続く時期です。

このため、台風は九州、沖縄地方に上陸したのち、日本海側を通っていきます。

◆9月

太平洋高気圧が7月、8月ほど強くなく、そのヘリがちょうど本州の太平洋側に当たるので、

台風は紀伊半島、東海、関東を進路にとることが多くなります。



台風の進路を予測するのにカギのとなる物に注目していきます。

自由研究の時に注目する点



台風の進路を決定する要素では、山に当たる高気圧、特に太平洋高気圧に注目します。

◆太平洋高気圧の勢力

太平洋高気圧がどのくらい日本に張り出してくるかがポイントになります。


・強くなる条件

ラニーニャ現象(南米ペルー沖の海面水温が平年よりも低い状態)が起こると、太平洋高気圧が強まると言われます。

夏に、北側に高気圧が張り出しやすくなり、気温も高くなる傾向になります。

また、このラニーニャ現象が8月から10月に発生すると、台風が発生する位置が例年よりも西寄りになます。

大陸に進む台風が増え、海面温度の高い海上を進む時間も発生から消滅までの寿命も短くなる傾向にあります。

・弱くなる条件

エルニーニョ現象(南米ペルー沖の海面水温が平年より高い状態)になると、太平洋高気圧が弱まると言われます。

弱まると日本付近への張り出しが弱くなり、気温が低くなりやすい傾向があります。

また、日照時間も短くなります。


台風の進路の自由研究では、

冷夏になった時の台風発生数と上陸した台風の進路、

猛暑になった時の台風発生数と上陸した台風の進路、

など対比できる年のデータを比べ、

進路を決定づける各要素がその年ではどのように違ったかを調べるとよいでしょう。

そのうえで、気象庁などで今年の秋の進路予測などをしてまとめるのがおすすめです。

小学生では季節ごとに進路を決定する要因をまとめることで十分と思われますが、

中学生以上ではある程度各要素の掘り下げが必要です。


気象庁(台風について):https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/index.html

のホームページで基礎知識を学んでテーマを深堀していくとうまくいきます。

是非参考にしてください。

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