理科の自由研究で植物を選ぶ人も多いと思いますが、
タネから花が咲くまで、あるいは実がなるまでの観察を選ぶのではないでしょうか?
中学生になると簡単に出来る実験でも結果を踏まえた考察を深くする必要がありますし、
皆とは違った視点が高い評価を得ることにつながったりします。
今回は最近、テーマとして注目されている
「植物は人間の言葉や感情を理解するか」というものについてのお話です。
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理科の自由研究として取り上げるときのやり方と注意すべき点についてお話します。
植物に声をかけると成長が違う?
ときどき
おコメに音楽を聞かせるとおいしくなる
とか
前向きな言葉をかけ続けると花がきれいに咲く
といったことが言われていますね。
このテーマに注目して、夏休みの課題にするのも面白いと思います。
ただし、ほかの多くの課題と違って、答えが出ているわけではなく、はっきりとした結論が出ないことも承知する必要があります。
この点は結果と考察で詳しく述べたいと思います。
◆実験の方法
①どの植物で実験するか選ぶ
夏休みは日にちが限られているので、成長が比較的早い植物を選ぶのがポイントです。
また、結果がはっきりと分かりやすい植物であることも大切です。
条件としては見た目ではっきりと相違が分るものが理想になります。
成長の早い植物としては豆類、
栽培が簡単な植物としては朝顔、ひまわり、ホウセンカ、マリーゴールドなどが挙げられます。
ここでは花の様子がわかりやすくて失敗が少ない朝顔をお勧めします。
②実験の手順
二つの鉢を用意して、全く同じ条件で朝顔の種を植えます。
日照、水やり、など育てる条件はすべて同じとします。
片方をA、もう片方をBとします。
この条件でAにだけ次の様な声をかけ続けます。
・元気に芽を出してね
・芽が出たうれしいな
・ツタがどんどん伸びているね
・元気で育っているね
・つぼみがもうすぐ開くね、楽しみだね
・花がきれいに咲いたね、こんなにきれいに咲くとうれしいよ
・明日も沢山咲いておくれ
・枯れても種をシッカリ育てているんだね、えらいね
このような励ます言葉や前向きな言葉、こちらの嬉しさを伝える言葉をかけ続けます。
Bの鉢には一切、ことばをかけません。
③生育の状態を比べる
この条件のもと、
・発芽の早さ
・花の数
・成長の速さ
・枯れる速さ
などを観察して記録します。
そして、
違いが出た、
違いが出ない、
の二つの結果が待っていると思います。
それぞれについて理由を考察してレポートにまとめます。
気持ちとしては、
声をかけ続けた朝顔はすべてにおいて声をかけない方の朝顔よりも上回る、
としたいところですが、科学的にはそうはならないようです。
ここで、知っておいてもらいたいことをお話します。
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バクスター効果とは?
植物には人間の感情を読み取る能力があるという現象を最初に発表したのはクリ―ブ・バクスターというポリグラフの専門家です。
彼はドラセナの葉にポリグラフ(嘘発見器)の端子をつけて、根元から葉までどのくらいで水が届くのだろうと、実験を行いました。
実験は思うようにいかず、「葉を燃やしてしまうぞ」と心の中で思いました。
すると嘘発見器の針が異常に反応したということです。
「Evidence of a Primary Perception in Plant Life」として論文が『International Journal of Parapsychology』誌に発表されました。
1968年だそうです。
人の感情に対して植物が反応を示すことをバクスター効果というのですが、
この実験の捉え方はおおむね2つに分かれます。
◆肯定的なとらえ方
植物も愛情を求める。
サボテンに愛情をかけるととげが抜け落ちる。
植物の世話をしている人の感情に合わせて反応が起きる
中国の「万物に霊あり」という思想の証明である
などととらえる人が居る一方でバクスター効果は否定されているという考え方もあります。
◆否定的なとらえ方
バクスター効果を否定する論文が1975年と1977年に発表されている。
K. A. HorowitzとD.C. Lewis、E. L. Gasteigerによる「Plant primary perception.」(『Science』誌、1975年)
と
J. M. Kmetzによる「A study of primary perception in plants and animal life.」(『Journal of the American Society for Psychical Research』誌、 1977年)
です。
科学的な検証としては
・バクスター氏の実験は適切な比較試験を行っていない
・適切な比較試験のもとでは植物が人間の考えに反応しているという兆候は現れなかった。
・バクスター氏の実験のポリグラフの変化は静電気、室内の動き、温度の変化など自然要因のものであったのでは
などが検証されている。
自由研究でこのテーマを扱うときには、肯定的な立場だけではなくて、否定的な検証結果も踏まえて結果をとらえる必要があるでしょう。
結果の捉え方と考察
自由研究では理想的な結果を求めるのではなく、出た結果をそのまま受け止めて検証するようにします。
今回のようにはっきりと結論が出ていないテーマを扱うときには結果を深く考察することがたいせつです。
二通りの結果を踏まえての考察の一例を挙げてみますから参考にしてください。
◆二つの朝顔に変化が出た場合
声をかけ続けた朝顔に良い結果が出た時には、肯定的な結論ばかりに結び付けるのではなく、
次の様な事も考えてみましょう。
・観察の期間を通して本当に同じ条件を保てていたか
・ほかの植物で行ったら同じ結果が得られるか
・バクスター効果は否定されているとしたら、他に変化があった要因は考えられないか
・音、波動、など物理的な要因は考えられるか
など、自由研究の観察を振り返って、期待した方向とは反対の立場から考えを巡らせることも大切です。
バクスターの行った実験やそれを否定した論文の内容を調べるのも参考になると思います。
◆二つの朝顔に変化が出なかった場合
期待した結果ではなくてもそのまま、考察します。
・変化が出た結果とデータが見られるときは自分の実験との違いを探す
・ほかの植物でも同じ結果がでるのか
・バクスター効果を否定した論文を調べて自分の考えに添える
・変化があったとされる事例を否定的な立場で見て、変化がなかった事例とどの点で異なるのかを探す
自分の行った実験で変化がなかった時でも、変化があった事例を友達や論文などからさがして、二つの違いを主観的な立場と客観的な立場で比較すれば、立派な結果の検証になります。
また、いまよく言われていることには
良い言葉には良い波動があり、悪い言葉には悪い波動がある
という考えかたもあります。
「音」というものに注目して仮説を立てるのも面白い視点だと思います。
今回のように結果をはっきりと結論付けられないものをテーマとして選んだ時には、結果に対して情報を集めて、いろんな視点で考察することがたいせつです。
中学校の理科の自由研究では観察や実験自体は簡単でも、深い考察が必要なものもあります。
時間をかけて取り組めば夢中になれると思いますよ。
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