自由研究でも授業でもよく扱われるろうそく。
中学校の授業の定番ともいえるアイテムですが、
夏休みの自由研究のテーマとして誰もが行う可能性のあるものなので、
テーマを少し掘り下げて自分独自の視点から行う必要があります。
そうすればオリジナリティや目的がしっかりしているのでまとめる時にはかえって楽になります。
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今回は一つの実験を通して、結果をろうそくが燃える原理と照らし合わせ、考察してみます。
身近にあるものですから自由研究をするときの道具も簡単にそろうでしょう。
消えにくいろうそくを作ってみる自由研究
テーマとしては
ろうそくは外では風の影響で直ぐに消えてしまう。
特にお墓参りでお線香を付けるときに使用するには不便だ。
市販のろうそくよりも消えにくいろうそくを作るにはどうすればよいか。
実験の動機は
説明したとおりにお墓参りの時の体験から興味を持ったことにします。
実験の方法
市販のろうそくとは違うろうそくを作って燃え方を比べる
具体的には
・ろうそくの芯の長さを変えてみる
・ろうそくの芯の太さを変えてみる
・ろうそく自体の太さを変えてみる
の方法で行う。
風のないときの炎の様子、一定量の風があるときの様子も観察する。
こんな感じで進めていきます。
実験用のろうそくを作る
実験に使うろうそくは市販のろうそくを利用して作ります。
◆ろうそくの作り方
①ろうそくを溶かす
まず、市販のろうそくを湯煎して溶かします。
ロウが解けたら割りばしなどで芯を取り除きます。
②紙コップをつかって固める
割りばしに芯になるものを挟んで小さな紙コップの上に置きます。
芯が真ん中になるように注意してください。
溶けたロウをゆっくり注いで、冷まします。
冷めたら出来上がりです。
こうして
芯の太さを変えたもの2種類(ろうそく自体は同じ太さ)
ろうそくの太さを変えたもの2種類
芯の長さを変えたもの2種類(芯の太さ、ろうそくの太さは同じ)
の比較をします。
ここまでできたら実験をしてみましょう。
実験用のろうそくを作る時には火を使うのでくれぐれも注意してください。
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芯の太さを変えたもので比較する
芯の太さを変えたろうそくを燃やして比較します。
芯は同じ素材のもので、あらかじめロウをしみ込ませておいたものを使用して作った方が点火がうまくいきます。
・炎の大きさ
・風による消えにくさを比較します。
風は無風の室内で扇風機を一定の風量と距離から当てます。
実験がうまくいくと、芯の太い方が炎が大きく、風に対しても消えにくくなります。
芯の太さは炎の大きさと消えにくさに一番影響する結果になると思います。
ろうそくの太さを変えたものを比較する
芯の太さが同じでろうそくの太さが違うものを比べてみます。
これも先ほどと同じように
炎の大きさと消えにくさを比べてみます。
上手くいくと炎はさほど違わなくても、消えにくさには違いが出るのではないでしょうか。
実際にやってみると太い方が消えにくくなるはずです。
扇風機の風量は最初の細い方のろうそくが、やっと消えるくらいの風量に調節してください。
芯の長さを変えたもので比較する
次は同じろうそくで芯の長さの違うものを燃やしてみます。
観察すると、芯は炎が出来て一定時間たつと同じ長さになってしまいます。
自然に炎が燃えるのに理想的な長さになるのでは?という仮説がたちます。
消えにくさも変わりはないようです。
では、これらの3つの実験を踏まえて自由研究を考察してみます。
ろうそくが燃える原理を考える
実はロウは燃えやすいものとは言えません。
乾いた木や固形燃料のように火を直接つけて燃やすことが難しいのです。
それを燃えやすくしたのがろうそくのメカニズムです。
◆ろうそくが燃える仕組み
ではマッチやライターでろうそくに火がついて燃える仕組みを説明します。
①始めは芯が燃える
ろうそくに火をつけた時に起きる現象は
芯に使われている繊維が火によって、びりゅしとなって飛散します。
これが酸素と一緒に燃焼して炎になります。
②次にロウが解ける
次にその炎の熱で芯に近い部分のロウが解けて液体になります。
これを溶融と言います。これはおよそ60度くらいで起こります。
③芯がロウを吸い上げる
次に溶けたロウが芯に吸い上げられて、上昇します。
これは液体の表面張力の影響による毛細管現象と呼ばれます。
④ロウが気化する
芯に吸われたロウは気化して芯から拡散します。
ロウが気化するのは300度以上です。
⑤ロウが燃える
高温で気化したロウは酸素とともに燃焼して炎になります。
ろうそくの芯に火がつくと、これが連続して起こり炎が燃え続けます。
炎が燃え続けている限り、芯の近くのロウを一定量溶かし続けるので常にロウが供給され、
芯から気化して燃え続けるわけです。
ロウそのものが芯なしで燃えるには気化する温度300度を超えている必要があるので、
コンロにかけてその状態にすれば燃えるのでしょうけど、ろうそくに火をつけるのに比べたらかなりの労力です。
◆芯の燃え方について
ろうそくの芯が燃え尽きない理由は
・毛細管現象で吸い上げられたロウが繊維を覆ってしまう
・気化したロウの方が燃えやすい
・ロウが燃えるために熱を奪われる
ことにより芯は燃え残ります。
また、炎が燃えている間は一定の長さで残っている理由は
・芯の先端の方はロウが気化などでロウが不足となり代わりに芯の繊維が燃える
ためです。
常にロウが下から供給されるので上の方はロウが足りなくなります。
繊維が燃えた分、短くなっていくのです。
ではこれらの事を踏まえて実験した結果を考察してみましょう。
ろうそくの実験の考察
自由研究をまとめるには実験の結果を考察して結論を導き出します。
◆ろうそくの太さが太い方が消えにくい理由
芯に吸い上げられて供給されるロウが安定している。
その分消えにくいのではないか。
◆芯の長さは影響しない理由
ロウが芯の下から吸い上げられて、供給されるため、先端部分ロウの不足で繊維が燃える。
そのため、同じ太さのろうそくなら、吸い上げられるロウも同じため、一定の長さ以外の繊維はもえてしまう。
よって、芯は一定の長さを保ち、炎には影響しない。
◆芯の太いろうそくの炎が大きく消えにくい理由
ろうそくの芯が太ければ、それだけ吸い上げらロウが多くなります。
結果、気化したロウも多いので炎が大きくなる。
という結論に至ります。
また、この結論から、追加で実験を行ってみることもできます。
現場でろうそくの炎を大きくする方法
ろうそくの原理が分ってくると、新しくろうそくをつくらなくても、現場で炎を大きくする方法も考えられます。
吸い上げるロウを多くするので芯の代わりになるものをろうそくの回りに巻けばそこから気化するロウを増やし、結果、炎を大きくできます。
考えられる素材は
ガーゼ
包帯
ティッシュ
紙
などです。
ロウのしみこみが良いものならばより炎を大きくできます。
同じろうそくに巻き付けた場合に炎の大きさがどのように変わるか変化を見るのも面白いでしょう。
この実験の際には火傷に十分注意してください。
最後に気化したロウを確認する実験を紹介しましょう。
火が消えてもロウは気化している
例えば、ろうそくの火を消してしまっても煙のように白いものが芯からしばらく立ち上っているのを目にしますよね。
この動画を見てください。
なぜ煙に火を近づけると再びろうそくに火がつくのかというと、
芯にはまだ熱が残っていて、ロウの気化がつづいているから
です。
水にぬれたり、冷やされたりして熱を奪わない限り、少しの間ロウは気化し続けます。
熱で出来た上昇気流で上に登って行っています。
煙の正体は気化したロウです。
ですから、これに火をつけると導火線のように引火して、芯にも再び火がつくのです。
こうした実験もろうそくの原理を確認するには面白いですが、
・天井の高いところでやる
・無風の場所でやる
ようにして下さい。
空気中に気化したロウに引火させる実験なので、思わぬところに飛び火して火事を起こさないように細心の注意を払いましょう。
ろうそくの自由研究は簡単そうでいて、考察すると奥が深いものです。
中学生では原理をきちんと確認して考察と結果に結び付けて行ってください。
自由研究の目的をはっきりさせ、きっかけや切り口の斬新さがよいレポートを書くカギでしょう。
夏休みの参考にしてください。
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