11月の上旬は暦のうえでも秋から冬に変わる月です。
時候の挨拶もこれに合わせた季語を使って書きます。
冒頭の言葉には特に神経を使うと思いますが、
結びの書き方はどうしたらよいのかわからない、という悩みも多く聞きます。
今回は前文の中の時候の挨拶と結びの言葉の関係と
11月上旬に結びの表現を紹介していきます。
時候の挨拶と結びの考え方
お礼状や挨拶状などの手紙には時候の挨拶を入れるのがマナーとされています。
冒頭部分の時候の挨拶は
季語あるいは季節を表す言葉+候/みぎり+相手を気づかう言葉
という形を使い、季語にはその季節に合ったものを選びます。
そして迷うのが、
結びにも同じ時期に使う季語を用いて締めくくる必要があるかどうか
ということです。
結論から言えば必ずしも季節感を出す必要はないと思います。
例えば、会社関係の取引文書などでは結びの部分に時候の挨拶的なものはありませんし、
お礼状やその他の手紙などでも、
皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。
まずは書中をもってお祝い申し上げます。
のように時節を気にせずに使う表現もあります。
両方に季節感を表す言葉を用いるとしても、極端にかけ離れたり、違和感のある表現でなければある程度自由に考えてよいでしょう。
結びは主に手紙を送る相手の事を気遣う内容になるので、
最初の季語の意味を捉えて時候の挨拶を書き始めればおかしな表現になることはないでしょう。
「
深秋の候」で時候の挨拶を書いたのなら「
秋も一段と深まり、寒さが…」のようにすれば問題ありません。
では11月の季語をおさらいしましょう。
11月の季語と上旬に使えるもの
このブログの記事
時候の挨拶 11月に出すお礼状の例文
でも紹介していますが、
11月に使われる季語には
深秋 紅葉 残菊 晩秋 季秋 錦秋 落葉 初霜 冷雨 暮秋 菊花 深冷 霜降 霜秋 向寒 夜寒 孟冬 初雪
などがあります。
また、上旬には二十四節気の一つ「
立冬」(11月7日ごろ)があります。
暦の上では立冬までが秋、立冬以後が冬となります。
11月22日ごろには「
小雪」があり、雪の降り始める時期とされています。
季語の大まかな使い分けでは、
立冬(11月7日ごろ)までを上旬とすると分かりやすいと思います。
◆上旬に使われる季語
11月の上旬には秋の深まりを感じさせるもの
晩秋 深秋 紅葉 残菊 錦秋 暮秋 霜降
などをよく使います。
これと同じ時期には
木枯らし(晩秋から初冬にかけて吹く冷たい北風)
コタツ開き(11月の第一亥の日に暖房器具を出したり、囲炉裏に火を入れたりする)
鎮火のお供え(日をつかいはじめる時期なので鎮火祭が行われる)
もある時期なので、俳句などでは季語として使われます。
結びにもこの時期の季節感が感じられるものを使うようにします。
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11月の時候の挨拶の結びの文例
では結びの文例を見ていきましょう。
◆11月に使われる結の文例
寒さに向かう季節となりました。どうかお体ご自愛ください。
紅葉の見事なこの季節、皆様お健やかにお過ごしください。
小春日和の今日この頃、どうぞお健やかにお過ごしください。
枯葉の舞い散る季節、体調を崩されませんようご自愛ください。
めっきりと寒くなってまいりましたが、お体にお気をつけてお元気でお過ごしください。
暦の上ではもう冬になります。お体くれぐれもご自愛ください。
秋も一段と深まり、寒さが身に染みる季節、どうぞお健やかにお過ごしください。
深秋の候、お風邪など召されませんようお気を付けください。
これから本格的な寒さに向かってまいります。お風邪など召されぬようご自愛ください。
木枯らしが吹きすさぶ季節、どうかお体ご自愛ください。
天候不順の折、皆様ご壮健にて長い冬におそなえください。
ゆく秋を惜しみつつ、健康には十分注意し、お互い頑張りましょう。
木々の葉が鮮やかなこの季節、どうぞお健やかにお過ごしください。
時節柄、お風邪など召されませんよう、どうぞお身体ご自愛ください。
冬の足音も聞こえてまいりました。皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
秋から冬へ季節の流れは早いものです。天候不順の折り、よろしくご自愛下さいますようお願い申し上げます。
寒さが日一日と増してまいります。健康には十分留意してお過ごしください。
◆季節を問わず使われる結び
皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。
今後ともこれまでと変わらぬご支援ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
貴社の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
引き続きご支援ご厚情を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
まずは取り急ぎお知らせまで。
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
末筆ながら皆様にくれぐれもよろしくお伝えください。
季節を問わない結びは公式の文書や会社間の文書でほぼ形式的に使われるものが多いです。
反対に季節感と相手への気遣いを書くときは親しい間柄や恩師への手紙の場合が多いですね。
では最後にお礼状の例をみて使い方の確認をして見ましょう。
11月の時候の挨拶と結びの例文 お礼状
お礼状に限らず、手紙は
前文
主文
末文
の3つの部分から構成されます。
時候の挨拶は前文に、結びは末文に入れます。
またお礼状を出すタイミングですが、
いただきものをしてから2日から3日以内には出すようにします。
もし、遅れてしまった場合には必ずお詫びの言葉を入れるようにしてください。
今回の例文は出産祝いをいただいた方へのお礼です。
想定しているのは同じ子育てをしている先輩の方、友人にあてたものです。
◆出産祝いのお礼状の例文
一ノ瀬 様
紅葉の見事なこの季節、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日は長女 春香の出産に当たり、お心のこもったお祝いの品をいただき、ありがとうございます。
丁度○○の購入を考えていたところでしたので、うれしいお祝いでした。
おかげさまで、初めての子育てに戸惑いながらも、成長するわが子を見て、親になったことを実感しております。
これからも子育ての先輩として、ご指導くださいますようお願い申し上げます。
心ばかりの内祝いの品を送らせていただきましたので、ご笑納いただければ幸いです。
ゆく秋を惜しみつつ、健康には十分注意し、お互い頑張りましょう。 まずはお礼まで。
○○ ○○
平成30年11月5日
時候の挨拶 11月に出すお礼状の例文
で取り扱った例文に当てはめてみました。
11月は秋の名残をのこしつつ、冬の入口になる季節ともいえます。
気温と気候の変化が大きくなりますから、手紙で体調を気遣う分があるとうれしくなるものです。
特に上旬は立冬までの短い期間でもあるので、季節感たっぷりの表現を贈ってください。
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