エボラ出血熱はもはや対岸の火事と言う様相ではなく、国内に感染者が出る事を想定した準備がなされています。
対応できる病床の数に問題はあるのですが、
日本では薬に関しては承認前のものでも使用できるように意見が交わされました。
一方海外ではワクチンの臨床試験の結果がまだ出ておらず、一般には2015年6月以降になるとの発表がされています。
エボラ出血熱がなぜこれほどまでに危険視されるのでしょうか?
感染した人の致命率が高いのも理由ですが、日本独特の問題もあるのです。
先ず法律上の分類から見てみましょう。
日本での感染症分類と現状の問題
少し前にデング熱について盛んに取り上げられていましたが、エボラ出血熱が感染者が出る前にこれほど報道されるのにはわけがあります。
日本の感染症法に基づいた分類を見てください。
・1類感染症:
ペスト、南米出血熱、痘そう ラッサ熱 エボラ出血熱 マールブルグ病 クリミア・コンゴ出血熱
・2類感染症:
急性灰白髄炎(ポリオ) ジフテリア 鳥インフルエンザ(H5N1) 重症急性呼吸器症候群(SARS) 結核
・3類感染症:
腸チフス コレラ 細菌性赤痢 パラチフス 腸管出血性大腸菌感染症
・4類感染症:
ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎を含む)、エキノコックス症、黄熱、オウム病、回帰熱、Q熱、狂犬病、クリプトスポリジウム症、コクシジオイデス症、ジアルジア症、腎症候性出血熱、炭疽、ツツガムシ病、デング熱、日本紅斑熱、日本脳炎、ボツリヌス症、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、ブルセラ症、発疹チフス、マラリア、ライム病、レジオネラ症、急性A型ウイルス肝炎、急性E型ウイルス肝炎、高病原性トリ型インフルエンザ、サル痘、ニパウイルス感染症、野兎病、リッサウイルス感染症、レプトスピラ症 デング熱
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・5類感染症:
アメーバー赤痢、急性ウイルス性肝炎(A型及びE型を除く)、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、後天性免疫不全症候群、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風疹症候群、梅毒、破傷風、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、インフルエンザ、咽頭結膜熱、突発性発疹、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、百日咳、感染性胃腸炎、風疹、水痘、ヘルパンギーナ、手足口病、麻疹(成人麻疹を除く)、伝染性紅斑、流行性耳下腺炎、急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローム、クラミジア肺炎(オウム病を除く)、細菌性髄膜炎、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、マイコプラズマ肺炎、成人麻疹、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、淋菌感染症、急性脳炎(全数)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症(全数)、ビブリオ・バルニフィカス感染症(全数)、RSウイルス感染症(定点)
1類感染症が最も深刻な感染症です。
デング熱が4類感染症ですから危険度は比べ物になりません。
しかし法律の上で危険なウイルスと分かっていても、近年の日本では医療技術では治癒が難しい感染症が起きた事は無く、そのような感染症が国内で起きる可能性が極めて少なかったため対応ができない可能性があるのです。
1類感染症に対応できる機関が少なく、病床(隔離できる病床)数も少ないのはこのことが原因です。
それにこの1類感染症の治療を経験している医師もあまりいないのが現状。
ある意味ウイルスに対しての鎖国状態だったのです。
日本では未承認の薬の使用が出来ることに
10月24日、厚生労働省が「一類感染症の治療に関する専門家会議」で未承認の薬の使用が倫理的に認められると確認しました。
「有効性と安全性が未確立の治療の提供は、WHOの倫理委員会の結果も踏まえると、日本においても倫理的に許容されるとの結論になった。アビガンだけを認める話ではないが、現実的に日本で入手可能なのは、アビガンくらいだろう。有効性と安全性が確立していないことなどについて、十分にインフォームド・コンセントを取った上での使用を想定している」
これは日本ではあまり聞かない入れの措置と言えるでしょう。
この中で出てきた「
アビガン」と言う薬ですがもともとは新型インフルエンザに対する薬として開発されたそうで、備蓄も2万人分、原薬としては30万人分が在庫されているそうです。この薬は海外でも4例に投与されてた実績があります。
有効な薬が全くない状況ではないのが救いです。
海外のワクチンは今
英国グラクソ・スミスクライン社とカナダの政府系研究所などが開発中のワクチンは12月に臨床結果が出るようです。
結果が出て見なければ有効なものかどうか分かりませんが、要望ワクチンができるのはもっともっと先で早くても2015年6月以降になるそうです。
WHOはこれからも感染は拡大すると見ているので予防ワクチンの開発が待たれるところ。
何しろ人の流れは完全につかみきれるわけではないですし、どんなに国と国が連携が出来ていても入国時に防ぎきれるものではありません。
感染症に関しては過敏になりすぎることなく、正確な情報を収集しましょう。
渡航した後に万が一、エボラ出血熱を疑うような兆候があったら、早めに診療機関で見てもらう事が大切です。
間違いだったら?とためらう事はありません。
診察をためらって過ごした数日で感染を拡大してしまうかもしれませんから。
迷うよりも行動が感染を最小限に食い止める最善の方法だと思います。
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2014-10-25 20:03
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