7月は梅雨も明けて暑さも厳しくなる季節です。
時候の挨拶でも、それを表す季語が良く使われています。
その中で、よく使う「
盛夏の候」というものについて使う時期や使い方、
同じ時期に使える表現などを見ていきます。
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「候」とつく挨拶は改まった挨拶で、ビジネスや目上の方などとのやり取りに使います。
形式は
季語、季節を表す言葉+「~候」「~みぎり」「~折」+相手を気づかう言葉です。
それだけに使う時期を間違えないようにしたいもの。
7月には
酷暑 猛暑 炎暑 酷夏
なども使いますが、どれも暑さに対してマイナスイメージを抱きそうなものなので
「
盛夏」が好まれるようです。
1、
盛夏とはいつごろか
2、
七十二候でみた盛夏と季語
3、
ビジネスと手紙などでの例文
の順番で進めていきます。
もっと砕けた手紙でも同時期に使える季節の言葉にも触れますので、
参考にしてみてください。
盛夏とはいつごろか
まず、今の私たちの感覚と暦の上での夏とは少しずれがあります。
まず、夏は次の3つの期間に分けられます。
・初夏:
5月5日頃から
6月5日ごろまで
・盛夏:
6月6日頃から
7月6日頃まで
・晩夏:
7月7日頃から
8月6日頃まで
これがそれぞれの期間です。
この期間に従うと、「
盛夏」という言葉は
6月の中旬から7月の上旬、七夕のあたりまでに使う言葉ということになります。
7月の上旬はまだ、梅雨明していない年もあるので、
暦の上では盛夏でも、あまりしっくりきませんね。
それに6月も暑い日は確かにあります。
でも、中旬からは本格的な梅雨空で梅雨寒の日が続くなど、言葉から連想する気候ではないこともあります。
実際にビジネス文書ではどのようになっているかというと、
初夏、盛夏、晩夏のうちで最も暑い時期という意味合いで
7月中は「盛夏」という季語を時候の挨拶に使っています。
6月は暦の上では盛夏に該当しても、気候にふさわしくないので使わないことの方が多いでしょう。
結果として、
「盛夏」を使うのは7月いっぱいくらい、
と考えてよいでしょう。
もし、不安ならこの時期の二十四節気の
小暑 向暑
などを使用するようにします。
では、盛夏の時期の二十四節気と七十二候のその時期の旬のものや名物を見てみましょう。
公式な文書以外に季節感を出すヒントになると思います。
七十二候でみた盛夏と季語
二十四節気と七十二候というと難しそうに聞こえますが、
二十四節気は単に四季をそれぞれ6等分して、それぞれに名前を付けたものです。
さらに二十四節気のそれぞれをさらに3等分したものが七十二候です。
具体的に見ていくほうが簡単だと思います。
◆暦の上の盛夏と現在の7月いっぱいまでの二十四節気
盛夏は6月6日頃から7月6日頃まで、なのでこの期間には
芒種、
夏至があります。
それぞれの期間をさらに3つに分けると下のようになります。
・芒種:6月6日頃から6月21日頃まで
初候:6月5日ごろから6月9日頃まで。
蟷螂生(かまきりしょうず)と言われる期間です。
この時期にはカマキリの卵がかえる頃、という意味です。
ちなみにカマキリは農業にとっては害虫を退治してくれる益虫とされています。
次候:6月10日ごろから6月15日頃まで。
腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)と言われます。
腐りかけた草の中から蛍が明かりをともし始める時期という意味です。
蛍が飛び交う時期ですね。
末候:6月16日ごろから6月20日頃まで。
梅子黄(うめのみきばむ)と言われます。
梅の実が黄色く色づき始めるころ、という意味です。
・夏至:6月21日頃から7月6日頃まで。
初候:6月21日頃から6月15日頃まで。
乃東枯(なつかれくさかるる)と言われます。
冬至の頃に芽を出した草(ウツボグサ)が枯れていく頃という意味です。
次候:6月26日頃から6月30日頃。
菖蒲華(あやめはなさく)と言われます。
アヤメの花が咲くころという意味です。
末候:7月1日頃から7月6日頃まで。
半夏生(はんげしょうず)と言われます。
田植えを終わらせる時期とされていて、半夏生と呼ばれる草が生える時期でもあります。
暦の上での盛夏はこんな風に分類されています。
では、現在の7月いっぱいも見てみましょう。
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・小暑:7月7日頃から7月22日頃まで。
初候:7月7日頃から7月11日頃まで。
温風至(あつかぜいたる)と言われます。
空気が熱を帯びて、日差しも強くなるという時期です。
次候:7月12日頃から7月16日頃まで。
蓮始開(はすはじめてひらく)と言われます。
池の蓮の花が開く時期です。でも、蓮の花は4日ほどで散ってしまいます。
末候:7月17日頃から7月22日頃まで。
鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)と読みます。
鷹に限らず、鳥の雛が狩りを覚え、巣立ちの準備をする時期という意味です。
・大暑:7月22日頃から8月6日ごろまで。
初候:7月22日頃から26日頃まで。桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)と読みます。
桐が花を咲かせる頃という意味です。
次候:7月27日頃から8月1日頃まで。
土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)と読みます。
読んで字のごとく、蒸し暑さがまとわりつく頃、という意味です。
末候:8月2日頃から8月6日頃まで。
大雨時行(たいうときどきふる)と読みます。
夕立が本格的に起こるシーズンです。
細かく見るといろいろと季節に密着した言葉で表されていますね。
親しい間柄の手紙を書く時の挨拶にも使える季語としてそれぞれの時期に旬なものをまとめてみます。
◆盛夏に旬のものたち
・芒種の頃
紫陽花 トマト 田植え祭り(住吉大社のお祭りが有名) シマアジ 父の日(6月の第三日曜日)
・夏至の頃
夏ミカン オクラ 鮎 冷酒 大祓(おおはらえ:六月の末に神社で行う 夏越の祓ともいわれる)
・小暑の頃
鰻(土用の丑の日などに) 七夕 アゲハ蝶 祇園祭 にんにく など
・大暑の頃
カブトムシ ゴーヤ 金魚 ねぶた祭 オシロイバナ(白粉花) など
では最後に盛夏の時期の時候の挨拶の例文を確認してみましょう。
ビジネス 手紙などでの例文
◆ビジネスなど使われる時候の挨拶
盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
盛夏の候、皆様がたにおかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。
盛夏のみぎり、皆様お変わりなくご健勝でお過ごしのことと存じます。
相手を気づかう言葉の使い分けについては
4月の時候の挨拶 初旬の季語と例文
の後半で詳しく紹介していますので、そちらを参照してみてください。
また、同時期には
夏至の候、
小暑の候、
大暑の候、
も使えます。
◆手紙などで使える盛夏の頃の表現
盛夏の空がひときわ眩しく感じられる頃となりました。いかがお過ごしでしょうか。
盛夏の候、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
梅雨も明け、厚さもいよいよ本番となりました。いかがお過ごしでしょうか。
蓮始開(はすはじめてひらく)と呼ばれるとおり、池の蓮の蕾がひらきました。
雲の間から注ぐ日差しが強さを増している今日この頃、
暑さとともに桐の花の開花が盛夏の訪れを告げました。お変わりなくお過ごしでしょうか。
この他にもアゲハ蝶と自然の風景や、冷酒での晩酌など季節感を出した挨拶も面白いでしょう。
◆結びの表現
私的な手紙には結びにも時候の挨拶を入れます。
厳しい暑さが続いておりますので、お体ご自愛ください。
盛夏の折り、お体ご自愛ください。
温風至(あつかぜいたる)と申します通り、蒸し暑い日が続いております。お体くれぐれもご自愛ください。
梅雨明けで急に暑さが増してきますので、健康を気遣った挨拶で締めくくります。
今回は盛夏という時期に的を絞って詳しく、季語と時候の挨拶を採りあげました。
ビジネス文書、手紙の時候の挨拶を書く際の参考にしてください。
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