春というと何月くらいを思い浮かべるでしょうか?
特に、時候の挨拶が必要な仕事上の文書などでは改まった形で挨拶を書くことが多いですが、
このときに気にしなくてはいけないのが季語です。
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親しい間柄の手紙などでは送る時期の気候や天候をそのままの感想で書けばよいですが、
正式な文書の挨拶で使う季語は時期が決まっているので、良く調べる必要があります。
今回は春という季節の分け方とその月毎の季語を中心に
正式な文書でつかわれる時候の挨拶の形まで触れていきます。
1、春の定義の違い
2、それぞれの月の季語
3、正式な時候の挨拶の形
4、正式な時候の挨拶で気を付ける言葉使い
の順で進めていきます。
まず、春の定義の違いを見ていきましょう。
春の定義の違い
春、という季節がいつからいつまでなのかは、立場によって、故人の間隔によって多少のズレがあります。
日本では主に4つの区分の仕方があります。
■二十四節気による区分
時候の挨拶を書く上で一番理解しやすい区切り方です。
でも、実際の間隔よりは多少季節が早いような気がします。
二十四節気では春は
立春(2月4日ごろ)から立夏の前日(5月5日ごろ)
までを指します。
他の季節は
夏:立夏(5月6日頃)から立秋前日(8月6日頃)
秋:立秋(8月7日頃)から立冬前日(11月6日頃)
冬:立冬(11月7日頃)から立春前日(2月3日頃)
となります。
■気象庁による区分
一方、気象庁では2月は春には区分しません。
気象庁による春は
3月1日から5月31日
までを指します。
それぞれの季節は
夏:6月1日から8月31日
秋:9月1日から11月30日
冬:12月1日から2月末
となります。
私達の感覚と一番近いのはこの区分のし方かもしれません。
■天文学による区分
天文学では春は少し遅い時期を指します。
春分の日(3月21日ごろ)から夏至(6月21日ごろ)
までを指します。
その他の季節は
夏:夏至(6月21日ごろ)から秋分(9月23日ごろ)
秋:秋分(9月23日ごろ)から冬至(12月22日ごろ)
冬:冬至(12月22日ごろ)から春分(3月21日ごろ)
となります。
■年度による区分
企業や学校などでは
4月から6月
を春としています。
その他の季節は
夏:7月1日から9月30日
秋:10月1日から12月31日
冬:1月1日から3月31日
となります。
区分によっては6月も春としているものもありますが、梅雨にも入りますし、初夏のイメージも強いので、
一般的な感覚で初夏ではないかと思えます。
通常は二十四節気の分け方か、気象庁の分け方が私たちの感覚に近いのではないでしょうか。
ではそれぞれの月に使える季語を確認して行きましょう。
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それぞれの月の季語
始めに二十四節気の立春から立夏の前日までの季語を確認します。
■二十四節気の春の季語
立春(2月4日ごろ):暦の上での春の始まり、昔は一年の始まりの日とされた
雨水(2月19日頃):降り積もった雪も溶けだす季節の意味
啓蟄(3月6日頃):冬ごもりから覚めた虫たちが地上に現れてくる頃
春分(3月21日ごろ):昼夜の長さが同じになる日、お彼岸でもある。
清明(4月5日ごろ):全ての生き物が春の息吹を謳歌する頃
穀雨(4月20日頃):雨に農作物が潤う季節、種まきの季節ともいわれる
立夏(5月6日頃):この日から夏が始まります。
また、春は
初春(雨水のころ)、
仲春(啓蟄 春分の頃)、
晩春(清明 穀雨の頃)に分けられることもあります。
ここからは月毎の季語と使える時期を見ていきましょう。
■3月の季語
早春:3月全般
軽暖:3月上旬から中旬にかけて
浅春:3月上旬から中旬にかけて
春暖:3月中旬から下旬、または4月全般にも使えます
春分:春分の日から清明の前日(4月3日頃)まで
陽春:3月初旬から4月全般
春色:3月下旬から4月いっぱい
弥生:3月初めから末まで
萌芽:3月中旬から下旬にかけて
迎梅:3月初めから4月の頭まで
■4月の季語
麗春:4月の下旬ごろ
惜春:4月中旬から5月上旬
春風駘蕩:(しゅんぷうたいとう)3月中旬から4月上旬
春嵐:(しゅんらん)4月全般
桜花爛漫:(おうからんまん)3月中旬から4月中旬
春日華麗:4月全般
春和:4月一杯
春暖:3月の季語を参照してください
陽春:3月の季語を参照してください
桜花:4月全般
■5月の季語
若葉:5月上旬から中旬
緑風:5月全般
新緑:5月全般
初夏:5月下旬ごろから6月上旬
立夏:立夏から5月中旬まで
軽暑:5月中旬から6月初旬
晩春:清明(4月4日ごろ)から立夏(5月4日ごろ)まで
暮春:晩春と同じ時期
惜春:5月上旬
葉桜:5月上旬
薫風:5月全般
向暑:5月下旬から6月上旬
■6月の季語
初夏:5月下旬ごろから6月上旬
入梅:6月下旬から中旬
桜桃:6月5日ごろから7月4日ごろ
向暑:6月全般
麦秋:5月31日から6月4日ごろまで
向夏:6月下旬から7月上旬
薄暑:5月下旬から6月初旬(小満に当たる時期)
小夏:6月下旬から7月上旬
夏至:6月下旬
孟夏:5月5日ごろから6月4日ごろ(立夏と小満の間の期間)
短夜:6月中旬から夏至前後
首夏:5月5日ごろから6月4日ごろ
長雨:6月中旬から下旬
青葉:5月中旬から6月中旬
ではこれらの季語を当てはめる時候の挨拶の形を確認します。
正式な時候の挨拶の形
上で紹介した季語は企業や目上の方へ向けた正式な言い回しの文書でつかわれることが多いです。
季語+「~の候」「~のみぎり」「~の折」+相手を気づかう言葉
という形を取ります。
例、
春暖の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
迎梅の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
時候の挨拶は会社の文書によって定型文がある場合もありますが、
その都度適切な表現になっているかどうかチェックする必要があります。
また、時候の挨拶以外にも相手を気づかう言葉でも表現に注意しなくてはいけないところもあります。
次にそれをまとめてみました。
正式な時候の挨拶で気を付ける言葉使い
1、定型文で気を付けること
上の例文で相手を気づかう言葉の部分、
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
の言葉の使い分けです。
「
ご盛栄」という言葉は相手方の健康と繁栄を願う言葉で、ほかにも似た言葉が使われることがあります。
その使い分けは次のようになります。
・
ご盛栄 ご繁栄 ご清栄…
これらは企業に宛てた文書に使用します。
・
ご清祥 ご健勝 …
これらは個人に向けた文書に使用します。
文書が企業や部署などに宛てたものか、特定の個人に宛てたものかで相応しい言葉が変わりますので、気を付けてください。
2、社外へ宛てた文書で気を付けること
・
略称は使わない
特に「株式会社」を㈱としないように気を付けます。
・
敬語の使い方に注意
特に尊敬語と謙譲語に気を付けます。
相手の行為は尊敬語を用い、こちらの行為には謙譲語を用います。
例
話す→お話になる(尊敬語)、申し上げる(謙譲語)
来る→いらっしゃる(尊敬語)、参る(謙譲語)
自分の会社→弊社、当店、私ども
相手の会社→御社、貴社、○○様
・
誤字脱字、日付の間違いをしない
最終的なチェックですべて修正するようにします。
特に日付の間違いは致命的なので、すべて拾い出すようにします。
長い文書ではないので、すぐに出来るでしょう。
今回は立場による春の区分の違いと、季語、それを使用する正式な時候の挨拶の注意点をまとめました。
文書を作る際の参考にしてください。
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