学生時代の夏休みの定番としておなじみの読書感想文。
社会人になってからも書くことも増えつつあるようです。
今回は例文と着眼点を紹介します。
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社会人としての読書感想文の大きな違いはテーマが今の仕事とより具体的に結びついている事でしょう。
大抵は会社や上司が提出を求めると思いますが、部下の読書感想文から何を知りたいのか知っておく必要があります。
読書感想文から知りたいこと
社会人になってから読書感想文の提出を求められるときは、
入社して間もなく
新しい部署に配属された時
新しいメンバーでプロジェクトの立ち上げ
中には、
内定先の企業からの課題
ということもあります。
深く知り合っている上司ならば、そんなことをする必要はないので、
まだ、お互いの事をよく知らない状態の時ですね。
◆上司が読書感想文から知りたいこと
・その人の思考を知りたい
その人の考え方、関心や興味の傾向を知りたいときには、
課題になる本も自分で選んでもらうことが多いでしょう。
どんなジャンルに関心があるか、そのことにどのように感じているか、また考えているかをはっきりと掴むことができます。
特に新入社員の事を知りたい場合はこうすることが多いですし、
向いている仕事、向いていない仕事など凡そ推測できます。
・論理的思考力を知りたい
社会人になれば読んだ本の内容に対してどう感じたか、という感想のみならず、
なぜ自分はそう思ったのか、を第三者に分かりやすく伝えることがたいせつです。
それも伝聞ではなく、自分で内容を咀嚼して、分かりやすく簡潔にまとめる能力が実際の仕事では大切です。
・伝える力を知りたい
前の事とダブりますが、自分の頭の中にあることをわかりやすく、簡潔に人に伝える能力です。
それには論理性、適切な言葉使い、相応しい文章の構成などが要求されます。
実務ではプレゼンをするときに発揮される能力にもつながります。
これらをおおよそ掴んでおけば、能力応じて適所に、
また、成長に最適な環境で働いてもらうこともできます。
では、読書感想文を書く時にどんな構成にしていくのが効果的か見てみましょう。
効果的な2種類の構成
社会人の読書感想文で特にお勧めな構成は二つあります。
それぞれ順番に説明してみましょう。
◆構成1
①本を選んだきっかけ
②読んで感じたこと
③感銘を受けた箇所と学んだこと
④今後の自分への影響と決意
◆構成2
①感動した部分、台詞
②その部分についての感想
③本選んだきっかけ
④学んだこと感銘を受けたこと
⑤今後の自分への影響と決意
構成1では本を読んだきっかけから始めるので、書き始めがうまくいけば比較的書きやすいと思います。
自己啓発書や啓蒙書、ビジネスに関する本の読書感想文ならこの形式が一般的に書きやすいでしょう。
構成2は読書感想文のお決まりのスタイルともいえるもので、
本の中で感動した場面やセリフからスタートし、なぜそこに感動したかを説明していきます。
小説やエッセイなどの感想に適した形式と言えます。
これ以外の形式についてはこのブログの記事
読書感想文の書き方 大学生のレポートを最速で仕上げる方法
でも紹介していますので、よろしければ参考にしてください。
では具体的に例に沿って本を読んだ感想を追ってみましょう。
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読書感想文の例
設定は新入社員が好きな本を選んでそれについて読書感想文を書く、という課題を出されたとします。
本来なら、ビジネス書、仕事関係に本を選びそうですが、『船を編む』を題材に自分では短所と思っていることについて書いている、設定です。
構成は2を基本としています。
◆例
①書き出し(心に残ったセリフ)
「
言葉が無ければ自分の思いを表現することも相手の気持ちを深く受け止めることもできません。
刻々と変化する世界で、うまく言葉を見つけられず、行き場を失った感情を胸に葛藤の日々を送る人もいる」
この言葉を自分に向けられた言葉のように感じた。
『舟を編む』の主人公、馬締光也に編集部の松本朋介が言った言葉だ。…
②この言葉についての感想
私は人とのコミュニケーションをとるのが苦手だ。小学校から高校、大学に至るまで友達は特定の数人しかいなかった。
~中略~
社会に出て、上司と部下、先輩後輩という上下関係に翻弄されながら毎日を送っている。
ごく慣れ親しんだ人とのコミュニケーションしかとってこなかった自分にとって縦社会と言う関係の中に見多くことはほぼ初めての経験といってよかった。
今まではごく身近な人以外を知ろうとは思わなかった。でも、付き合いを拡げて相手を知るときの一番のコミュニケーションツールは「言葉」である。
~中略~
私は「言葉」の使い方に自信がない。うまく伝えられるだろうか、不快に思われないだろうか、そんな不安が常に付きまとっていた。
③本を選んだきっかけ
始めはビジネス書を買うつもりで書店に行ったが、偶然手に取ったこの本の主人公に親近感を覚え・・・。
この部分は②の前に持ってきてもよいでしょう。分の流れ次第で調整します。
④学んだこと、感銘を受けたこと
「言葉」を使ったコミュニケーションに不安を覚えながら、避けてきた私とは違い、馬締は辞書を編む作業の中で「言葉」と真正面から向き合い、ありのままの自分をぶつけていく。
私は本当は「人」を不愉快にさせたりすることを恐れるのではなく、「言葉」を使うことで自分の弱さを見せることが怖かったのではないか。馬締が不器用でも恐怖に負けず突き進む姿が私に勇気をくれた。…
⑤今後の自分への影響と決意
社会に出て、自分の考えを上手く伝えらえるのかどうか、常に不安が先行していた。先輩たちが行うプレゼンテーションでは場の雰囲気に飲み込まれて、自分はどんどん小さくなっていった。
馬締が不安の中で必死にあがき、自分の様に言葉を見つけられず葛藤する人々に向けてその手助けとなる辞書を編む。その姿は私も一緒に仕事をする仲間たちの中で葛藤し、自分の言葉で新たな環境に踏み出す勇気をくれた。
「言葉は武器である。知らずに使えば簡単に人を傷つける。使い方を誤れば自らをも刺す。」このことを頭に置き、自分を表現することを恐れず、「人」と「言葉」と向き合い・・・
読書感想文に使われる言い回しは、「です」「ます」調ではなく、
「だ」「である」という語尾を使うのが一般的です。
小学校高学年から大学生までは特に気を付けることはありませんが、
社会人では上から目線の印象を与えないように文脈を配慮して使うのがポイントです。
読書感想文では心を動かされた部分をキチンと理論立てて説明できるかどうか、
今後の自分にとってどんな影響を与えるのかを伝えることがたいせつです。
特に社会人ではこの点が重視されます。
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