自由研究で塩水を使うものは主に密度に関係する実験です。
このブログでも、
自由研究 塩水で物の浮き沈みの密度を考える
で取り扱いましたが、
今回は一歩進めて浮力についても触れてみます。
基本的な事柄を中心に紹介しますが、これをきっかけに深い自由研究ができると思います。
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1、
トマトを水に浮かせるまで
2、
密度を応用した取り組み
3、
浮力について
の順番で見ていきましょう。
では始めます。
トマトを水に浮かせるまで
最初に基本的な実験を行ってみましょう。
こんな風に
水に沈んだトマトは
1立方センチメートル当たりの密度が水よりも重い状態にあります。
トマトを浮かせるためにはトマトの密度よりも水の密度を重くする必要があります。
そこで食塩を水に溶かし、トマトの密度よりも水の密度を上げることでトマトを浮き上がらせることができます。
ちなみに熟していないトマトは水に浮いて、熟すほどに沈みやすくなります。
甘さのもとになるショ糖がトマトの内部で水に溶けて、それが水よりも密度が大きくなるので、熟すほどに沈むわけです。
密度は
物の質量÷物の体積
という公式で求められます。
測り方など詳しくは
自由研究 塩水で物の浮き沈みの密度を考える
を参照してみてください。
もし、トマトを入れるほど大きな容器が無い時にはプチトマトでも同じ実験ができます。
水の密度はトマトの密度よりも小さいのでトマトは沈みますが、
食塩を入れて水の密度をトマトの密度よりも大きくするとトマトは浮きました。
試しにほかのものを溶かしてもトマトを浮かせることができるか試してみます。
◆食塩以外のものを水に入れてみる
食塩以外にも
砂糖
油
を試してみましょう。
結論を先に言ってしまうと、
水に混ざることで水の密度をあげることができるものはトマトを浮かせることができます。
砂糖は塩と同じように水の密度をあげることができます。
反対に油は水よりも軽いため、密度をあげることができないので、トマトを浮かせることはできません。
この他にも色々試してみるとよいでしょう。
この原理は自由研究の対象であるだけではなく、身近なところでも利用されています。
密度を応用した取り組み
塩水の密度を利用したものは私たちの身近にも存在します。
それをテーマにするのも自由研究の一つです。
◆塩水選(えんすいせん)
これはお米の種である種もみの選別に利用されている方法です。
農家では
15%の塩水に種もみを入れて、沈んだものを選んで育てるというのが塩水選です。
この方法で比重1.06で沈むものを稔実籾、浮かぶものをしいな籾と区別します。
浮くものと、沈むものとの違いは籾殻と玄米との空間の大小によって生じます。
浮くものはこの空間が大きく、沈むものは空間が小さいのです。
空間の少ないものほど沈み、良いお米になると言う訳です。
実際にとれ高も増えると言われます。
◆プラスチックごみの分別
日常出されるプラスチックごみは再生される過程で次の様な分離方法で素材ごとに分別されます。
・
比重分離
・風力分離
・振動分離
・静電分離
・溶剤分離
この中で密度が関係しているのが
比重分離法です。
家庭で出されるプラスチックごみは
PP (ポリプロピレン) PS(ポリスチレン) PET(ペットボトル) PVC(ポリ塩化ビニル) PE(ポリエチレン)
等です。
それぞれの比重を軽い順に並べると
PP:0.90
PE:0.94
PS:1.05
PET:1.38
PVC:1.35~1.45
となります。
中間処理施設などで細かく裁断されたもの中から比重の重いプラスチックを取り出すのに有効です。
比重の軽いPP 、PE 、PSの中からPET、PVCを分類するにはポピュラーな方法です。
中間処理施設などでのどのように分類されているか、またその装置などを調べると密度についての自由研究がより奥深いものになると思います。
ではもう一つの浮力についてのお話に移ります。
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浮力について
物体は押しのけた分の水の重さに等しい力を水から受ける。
この力は下の方から上に向かって垂直に働きます。
これを
浮力と言います。
水に沈むものにも浮力は働いています。
空中で落下する速さよりも水中で沈む速さの方がゆっくりなのは下からその物体を押し上げる力が働いているからです。
水に浮くものはその物体の重さが水が押し上げる力よりも小さいから浮き上がります。
同じ体積分の水を押しのけるものでも浮くものと沈むものの違いは下の画像で説明できます。
片方は
体積が50、重さが30の物体、
もう一方は
体積が50、重さが100の物体です。
共に水に入れると50の水を押しのけます。
この時点で、重さ30の物体と重さ100の物体には下から同じ50の押し上げる力が加わります。
重さが30の物体は下から押し上げる力、浮力の方が大きいため、水面に浮きます。
重さが100の物体は重さが浮力よりも大きいので水に沈みます。
中味がぎっしり詰まったものよりも中空のものの方が浮きやすいのものこの原理を知れば納得できると思います。
◆鉄の船が浮く理由
定番でもありますが、何トンもの鉄の船が浮くのもこの原理に基づいています。
まず、画像を見てみましょう。
船の重量と鉄球の重さはともに5000とします。
鉄球は体積が小さいので、2000の水しか押しのけられないとしましょう。
すると下から働く浮力は2000、重さが5000なので、沈んでしまいます。
一方の船は5000の重さがあっても、体積が大きく、7000の水を押しのけたとします。
すると、重さよりも下から押し上げる浮力の方が大きくなるので、浮く訳です。
また、船はすべて水面に出ているわけではなく、画像の様に船体のと中まで沈み残りの部分は浮いています。
浮力が働くのは水面から沈んでいる体積分のみなので、この船に働いている浮力は沈んでいる部分だけということになります。
言い方を変えると水中に沈んでいる部分の重さと下から押し上げる浮力は釣り合っている状態です。
実際の船の場合は淡水の時と海に出ているときとでは沈む深さが違います。
塩水に入っている方が先程の密度との関係で浮力も強くなるので、沈む位置が異なります。
自由研究としては色々なものを浮かせて実験する方法と、
形の変わるものを使って、沈む形、浮く形などいろいろ試して記録したりします。
東急ハンズやホームセンターにはお湯につけることで形を変えられる自由樹脂などもあるので、
手軽にできます。
また、浮力の原理は潜水艦がもぐったり浮上したりするときにも応用されています。
水面から潜水するときにはどのようなことを行っているのか、
浮上するときはどうか、などを調べてみてください。
今回は密度と浮力について基本の部分から紹介しました。
自由研究をするときに参考にしてください。
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