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子供が熱でうなされているとき 脳症とせん妄の見分け

高熱時に子供がうなされているときに異常な行動をとることがあります。

うわごとや夢遊病のように意識が朦朧としたまま歩き回ったり、急に叫んだり。

それは熱せん妄と呼ばれるもので、子供が高熱を出しているときに現れることがあります。

熱せん妄はうなされるという症状よりは見た目にも少し深刻で、時には入院が必要な場合もある症状です。

起きるのは高熱で体温が上昇し、脳の温度も上昇したときです。

それによって現実と夢想世界の区別がつかなくなり、錯覚を起こして異常な行動をしてしまうのです。

では、熱せん妄の症状と子供が異常行動をとってしまう原因を見ていきましょう。

熱せん妄の症状と原因は?



熱せん妄は高熱が出て、体温とともに脳の温度も上昇することで起きるとされています。

まずその症状は

・幻視
・錯視
・幻聴
・異常行動

などが挙げられます。

見えないものが見えたり、聞こえないはずの音が聞こえたりします。

異常行動には歩き回ったり、高いところから飛び降りたりといった危険な行為をすることもあり、初めての時にはお父さん、お母さんはびっくりしてしまうでしょう。

子供が興奮して、大声で叫んだり、走り回ったりするときには付き添って見守る必要があります。

それができないときには入院することも考える必要もあるでしょう。

熱せん妄でうなされるのは高熱が原因によることは明らかなのですが、なぜ熱が上がるとこのような症状が現れるのでしょうか。

◆熱せん妄の原因

熱により脳の温度が上がると脳波に変化が起きることが分かっています。

せん妄が起きた時の脳波は

・軽度の徐波(乳幼児、睡眠時、てんかん、意識障害、脳機能障害などの場合に見られる)
・速派(覚醒時、乳民事、薬物使用時、頭部損傷時などに見られる)

が混ざった状態になると言われます。

覚醒しているときには見られない徐波に興奮状態の時に出る速派が混ざって異常行動がおきます。

これと似た状態の脳波にレム睡眠時の脳波がありますが、レム睡眠まぶたの下の眼球運動をともなう睡眠で、夢をみている状態を指します。

通常は睡眠時は筋肉が弛緩しているので体は動きませんが、

熱せん妄の時には筋肉が弛緩しているのではないため、

幻覚や幻聴に対して体が反応して異常行動をおこしてしまうのです。

このような症状がでる熱せん妄ですが、起きやすい年齢があります。

◆熱せん妄をおこしやすい年齢

一番熱せん妄を起こしやすい年齢は

幼稚園児から小学校の低学年くらい

です。

もちろん小学校の高学年や成人になっても高熱によって起きる可能性があります。

年齢がひくいうちは見守りはそれほど大変ではありませんが、

高学年や中学校、高校、成人になると活動範囲も運動能力も高くなるので、看病するのは大変です。

特にニュースなどで取り上げられた、ベランダの鍵を開けて飛び降りたりする転落の危険性が出てきます。

また、せん妄をおこしやすいのは男の子のほうが多く、

男の子と女の子の比率は9対5です

熱せん妄の治療は



熱せん妄にはそのものの治療というのはなく、多くは様子を見ながらの経過観察になるようです。

◆病院に行った場合

症状に驚いて病院に行った場合は

高熱が出ている原因を診断して治療を行います。

せん妄そのものの治療ではなく、熱が出ている原因(風邪など)の治療を行います。

行動が異常で、飛び降りなどの危険行為の可能性がある場合は入院の可能性もあります。

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◆自宅で看病する場合

自宅で看病しているときに子供が高熱でうなされてせん妄の症状が出た場合は

無理に体を抑えつけたり、起こそうとしたりしないで自然に症状が治まるまで待ちます。

せん妄は通常は短時間で収まることが多く、数分から遅くとも1時間以内には治まります。

怪我をしないように見守りながら待ちます。

もし、ひきつけ、痙攣をともなう、異常行動が長時間続いた場合は直ちに医療機関で受診してください。

特にインフルエンザの高熱でせん妄の症状が出た場合はインフルエンザ脳症や脳炎の可能性があるため一刻も早く病院や医師に診せるようにします。

インフルエンザ脳症とインフルエンザ脳炎



インフルエンザ脳症は熱せん妄の症状と区別が難しく、かかると命取りになる可能性もあります。

子供がインフルエンザが原因で高熱を出しているときに熱せん妄と同じような症状が出た場合は最悪のことを考えて行動する必要があります。


◆インフルエンザ脳炎

ウイルスが脳内に侵入して脳に炎症を起こします。

脳内でウイルスが増殖します。

◆インフルエンザ脳症

脳症よりも重い症状がインフルエンザ脳炎です。

脳機能が低下して、意識障害を起こします。

インフルエンザ脳症にかかると死亡率は15パーセント、さらに回復しても25パーセントの子供に後遺症がこのる可能性があります。

特に5歳未満の乳幼児はかかりやすいのでインフルエンザに感染したときには注意して見守る必要があります。

仮にインフルエンザにかかったと医師に診断されてもその時点で脳症を発症するかどうかはわかりません。

◆インフルエンザ脳症の特徴

インフルエンザ脳症の特徴的な症状は

・意識障害
・痙攣
・異常行動

声をかけても反応しない、声にも反応しない、意識の混濁、視点が定まらないなどが見られますが、熱せん妄とよく似た症状です。

医師に受診するサインは

・高い発熱と意識障害が認められるとき

・痙攣が15分以上続いている、けいれんが止まっても意識がはっきりしない

・痙攣の前後に異常行動があるばあい

です。

躊躇することなく、上の様な症状が認められるときには病院、医師の診断を受けてください。

◆インフルエンザ脳症の治療

インフルエンザ脳症の治療はインフルエンザそのものの治療と同時に行われます。

抗インフルエンザ薬を使用してインフルエンザ治療を行います。

症状の改善し、熱が下がることで改善につながることが期待できるからです。

インフルエンザ脳症の治療には次の様な方法が行われます。

・ガンガグロブリン大量療法、

ガンマグロブリンは血液中に含まれるたんぱく質で、細菌やウイルスに対する交代の働きがあります。

このガンマグロブリンを製剤にして点滴する方法がこの治療の法です。

副作用は少ないと言われる治療法です。

・パルス療法(メチルプレドニソロン大量療法)

ステロイド剤であるメチルプレドニゾロンを用いた療法がです。

メチルプレドニゾロンは中枢神経系内の高サイトカイン状態や高サイトカイン血症の抑制に有効とされています。

また脳浮腫(のうふしゅ)を軽減する効果も期待できます。

・低体温療法

呼吸・循環・代謝など体の基本的な機能を確保して、脳組織温度を32~34度に管理します。

低脳温により二次的脳損傷を防ぐ療法です。

急性脳症の場合に行われます。

・血漿交換療法

重症患者に行われることがある療法です。


症状によって適切な療法がおこなわれますが、

インフルエンザが疑われている時に市販の解熱剤を安易に飲ませるのは危険です。

幼児に禁止されている解熱鎮痛剤もありますから、医師の診察を受けて処方されたものを服用するようにします。

インフルエンザにかかってうなされたり、上にあげた特徴的な症状が見られたら素人判断は禁物です。

様子を見るというよりも早めに医師にかかるというのが適切は判断といえます。

早期治療を行う最善の方法ですが、熱せん妄との区別の目安を一応心得ておきましょう。

熱せん妄とインフルエンザ脳症の見分けの目安



熱せん妄とインフルエンザ脳症を見分けるには次の点に注意します。

◆時間を目安にする

熱せん妄はインフルエンザにかかって高熱が出ていれば脳症になっていなくても起こります。

一見すると症状はインフルエンザ脳症と熱せん妄を区別するのは非常に難しいです。

その判断基準の一つは時間です。

熱せん妄の場合症状は数分で治まる。

インフルエンザ脳症熱せん妄の症状が1時間以上続いている。

熱せん妄の症状が数分で収まった場合は診断を受けても経過観察になることが多いです。

もし、症状が1時間に達しなくても長引いていたり、心配ならためらわず医師に診てもらう方がよいでしょう。

◆痙攣を目安にする

高熱が出た時に子供は熱性けいれんを起こすことがあります。

インフルエンザの高熱でも熱性けいれんを起こすことがありますが、その原因が脳症によるものなのか判断するのは困難です。

インフルエンザ脳症が疑われる場合の目安は

熱せん妄と熱性けいれんが起こっている場合です。

この場合は医師に見せるようにしてください。

◆意識障害を起こしている

脳症の特徴として意識障害が挙げられます。

熱せん妄と意識障害の症状がみられたら、熱せん妄の症状が消えても脳症を疑ってください。


インフルエンザ脳症は発熱してから48時間以内に発症するといわれています。

でも初期の症状を見逃さずに適切に処置をすれば発見が遅れて最悪の自体になることは避けられます。

インフルエンザにかかって高熱が出て、せん妄の症状が見られたら

脳症になっている確率が低くても、緊急に医師に診てもらうことが最善の対策と思います。

特に子供が初めてそのような症状になった時や少しでもおかしいと思ったらためらわないでください。

インフルエンザ脳症の予防は



かかると死亡することもあるインフルエンザ脳症ですが、

最大の予防方法はインフルエンザにかからないようにすること。

小さな子供でも自分でできるのであれば

手洗い、うがい、外から帰ったら殺菌消毒の徹底

をしましょう。

流行する季節の前に予防接種を行っておきましょう。

感染を完璧に防ぐのは無理としてもかかってしまってからの症状が軽く済みます。

高熱が出ることで脳が影響を受けるので症状が軽くて済む可能性の高い予防接種はかなり効果が期待できます。


子供が熱でうなされて熱せん妄の症状がみられるときには十分な見守りが必要です。

特にインフルエンザで高熱を出しているときに熱せん妄、意識障害をおこしたら一刻も早く医師の診断を受けてください。

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