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読書感想文 悪い例を中学生向けに直してみる!

読書感想文の書き方は前回の記事で取り上げましたが
今回は例をあげて具体的に見直してみましょう。

レベルは中学生くらいを設定しています。

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採り上げる物語は芥川龍之介の『蜘蛛の糸』。

悪い例を添削して良い感想文に直してみますので、自分で書くときの参考にしてください。

例は短く簡単にしていますが、長い読書感想文でも手順は同じです。

読書感想文 悪い文例



例文①

 『蜘蛛の糸』は罪を犯して地獄に落とされた主人公、カンダダが血の池で苦しんでいる時にお釈迦さまが蜘蛛の糸を垂らし、それを掴んで地獄を抜けだそうとする物語だ。
 カンダダは糸を掴んで必死に登っていき、一息ついてところで下を見ると、たくさんの罪人たちが糸を登ってくるのを見る。
糸が切れる事を恐れて思わず、「こら罪人ども、この蜘蛛の糸は己のものだぞ」と叫んでしまう。
 すると糸は切れカンダダは他の罪人とともに再び血の池に落ちて溺れてしまう。
 せっかくお釈迦様がくれたチャンスを我欲で台無しにしてしまうのは自業自得というものだ。
 自分のことだけしか考えず他人を思いやれない心を持つカンダダは助からなくて当然と思う。 どんな状況でも他人への思いやりは大切だと思う。


この感想文の悪いところを前回の読書感想文の書き方 中学校の場合はこうするを参考にあげて見ると

・あらすじを書いている
・主人公である書き手(自分)の存在が薄い
・課題図書の模範的なテーマにとらわれすぎている。

となります。

これは読書感想文でやってはいけない典型です。
没個性的になり、面白みも無く、読み手も退屈してしまいます。

ではこの例文を書き直してみます。

ポイントは前回で解説した様に

①あらすじは書かない
②自分を中心に書く
③課題図書のテーマにとらわれない

です。

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3つNGを直した読書感想文



例文①を書き直したものがこれです。

 『蜘蛛の糸』は釈然としない。
 お釈迦様は一体何をしているのだろうと思ってしまう。
 
 確かにカンダダは唯一のよい行いによって地獄から抜け出すチャンスをもらった。
でもそれはカンダダへのみへの救いの手だった筈だ。
 天から降りてきた蜘蛛の糸は血の池の悪人全員に向けられたものではないから、糸が切れるなら他の悪人たちが登った時点で悪人のところだけ切れるはずだ。

 なぜカンダダが自分だけ助かろうとした時にカンダダごと糸は切れたのだろうか?
 もし、自分だけ助かろうという気持ちを起こさなかったら罪人たちは全員助かったのだろうか?
 そんなことは無い筈だ。

 お釈迦様は罪人たちのいる地獄に気まぐれで糸を垂らして、結局全員地獄におとして、余計に罪人を苦しめただけではないのか?
 希望を持たせて再び突き落とすとは何とひどい仕打ちではないか。
 カンダダも他の罪人たちもサディスティックなお釈迦様の被害者にすぎないのだ。


どうでしょうか。

・あらすじはまったく書かれていません。
課題に決まっている場合は自分が説明する必要はありません。
心に強く残った箇所にフォーカスすれば十分です。
・自分の気持ちを中心に書かれているのがわかると思います。
・カンダダの気持ちや行いに目が行きがちですが、ここではお釈迦様に注目しています。
必要のない事をして罪人を苦しめた“悪人”としています。


同じものを読んでも注目する登場人物を変えるだけで全く違った側面を書きだすことができます。

良い読書感想文を書くために



二つの感想文を比べて見るとよく解りますが、一般的にその作品の主題やテーマとされるものに囚われるとつまらない感想文になりがちです。

正解を書こうとせず、自分の気持ちを正直に書くことで書きやすく、面白い読書感想文になります。

夏休みや冬休みの課題に読書感想文が出た時には参考にしてください。


読書感想文の形式についてはこちら ⇓
読書感想文は書き出しで決まる! 中学校 例をまじえて
読書感想文の内容についてはこちら ⇓
読書感想文の書き方 中学校の場合はこうする

も参考に。

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